男性向けのがっつり百合はちょっと…と、躊躇したりしませんか?
でも、女の子たちがたわむれているお話しが読みたい。女性だって、女の子たちの物語に耽溺したくなる時がある!
そんな時、おすすめの物語を4つ、紹介します。
女子と女子がやわらかに時にせつなくふれあっている作品たちです。
マリア様がみてる
今野緒雪先生著/ライトノベル
平成の名作。
上級生が下級生を導くというしきたりがある、お嬢様学校が舞台。そこで特に強く結びついた二人は、ロザリオの授受を行い、『姉妹』となる。
幼稚舎から大学まで一貫教育のカトリック系お嬢様学校が舞台、というだけで読みたくなります。
生徒会長が三人いて、三色の薔薇にたとえて、「紅薔薇様」「黄薔薇様」「白薔薇様」と呼ばれ、その『妹』たちは、それぞれ「つぼみ」と呼ばれるのです。たとえば紅薔薇様の『妹』は「紅薔薇のつぼみ」。更にその『妹』は「紅薔薇のつぼみの妹」。こういう階級みたいなのが好きなひとにも刺さると思います。
色んなかたちの『姉妹』、または姉妹以外の女の子同士の関係が描かれています。お嬢様学校なので、どの子もみんなおっとりしてて、変に心がささくれることもない。
全37巻とけっこうなボリュームだけど、読みやすい。のんびり長く楽しめる。
るかは志摩子さん推し。
タコピーの原罪
タイザン5先生著/漫画
いじめ被害者のしずかちゃん。いじめ加害者のまりなちゃん。仲裁役の東くん。
…と明確に区切れない、重い家族背景を持つ三人の小学四年生と、「ハッピー道具」で人類を幸せにしたい宇宙人タコピーの重く切ないお話し。
「親」の描かれ方がえぐい。可愛い絵柄なのに、生々しい「親」の描写。子供が受けとめるには酷な絶望感。
「おはなしすることの大切さ」という言葉が、表面の、薄っぺらいものじゃなくなる。
いじめられっこ経験者としては、しずかちゃんとまりなちゃんの仲直りエンドはいやだ!と連載中に強く思っていました。
その思いを覆すエンディングは、涙なしには読めません。今では、しずかちゃんとまりなちゃんが並んで立っている絵を見るだけで幸せな気持ちになります。
この二人の関係性は、複雑にねじれ、重苦しい。親から受ける仕打ちの、酷いところを共有する。同情なんてされたくない。したくもない。そんな次元は違いすぎる。今目のまえにある感情。激情。生々しくぶつけられ、ひしゃげ、それでもどうせ、二人とも救われない……。
それでも……という、最終回を、ぜひ読んでほしいです。単行本上下巻で、読みやすいですしね。
るかはしずかちゃん推し。
ハクメイとミコチ
樫木祐人先生著/漫画
修理屋で、大工仕事もこなすハクメイと、お料理、お裁縫が得意なミコチ。
二人はこびと。小さな世界のファンタジーです。
こびとなので、お米は一粒を砕いて使います。ブルーベリーを切り分けるとスイカ並の大きさ。バッタの配達員さんから号外をもらったり、渡りネズミの背中に乗って山を駆けあがったり。
ぎすぎすした事件はおこらず、やわらかな二人暮らしのお話しは、するすると読みやすく、それでいてもっと読みたい、と思えるものです。
漫画なのですが、描きこみがすごい。こびとの目線から見る背景が、生き生きと鮮やかに、つまびらかに描かれていて、独特の世界観を醸しだしています。幻想的な物語に浸れますよ。
歌姫や親方、美容師など、ハクメイとミコチをとりまくキャラクターも、みんな個性的で魅力的。彼ら彼女らがおりなす、小さな世界にまきおこるストーリーは、興味深く、それでいて優しい。
ハクメイとミコチの関係も、お互い無二の運命の相手!……みたいな強烈なものでなく、ふわりと隣りにいて、日々をともに暮らす、やさしいもの。
るかはハクメイ推し。
魔法少女まどか☆マギカ
シャフト様製作/アニメ
鬱アニメとして有名ですが、それだけに留まらない、尊い希望を描いた作品だと思います。
希望と絶望。友情と憎悪。憧憬と軽蔑。色んな感情を、ざくざくと斬りこむよう脳に送りこまれます。
いわゆる「魔法少女システム」の完成度は最高峰。
「なぜ魔法少女が生まれるのか?」という問いに、きれいに答えてくれている。
ああ、そうだったのか。ああ……そうだったのか……。と、回を追うごとに真相が曝かれ、心がずたぼろになります。それがいい。とてもいい。
アニメ本編(全12話)だけでも大満足、というか、他はノイズに思える…というほどのきれいなお話しなのですが、映画版や、派生漫画、ゲームも面白いです。
本編では、とりわけ主人公のまどかと、謎の転校生ほむらちゃんが積みかさねる時間に、心臓をぐちゃぐちゃにされます。最終回に向かうにつれ、ハンカチが手放せない。最後のまどかの決意と、それを目の当たりにするほむらちゃんのシーンは、涙が止まりません。つらい。けれど、なんて尊いのだろう。
個人的に『The different story』を激しく推したい!
みんなの先輩、お姉さん的存在であるマミさんと、初見乱暴者、その実せつなくなるほど他人に情をかたむける杏子ちゃんの外伝です。
るかは杏子ちゃん推し。
心惹かれる少女たちの物語
漫画、アニメ等、原作にあたる媒体を付記させてもらいましたが、どれもメディアミックスで他媒体に進出しています。どの媒体で鑑賞してもすてきな体験を得られるのですが、Lucaは原作厨なので、やっぱり原作から見てほしい!
それにしても、少女たちの物語は、どうしてこんなに心惹かれるのでしょう。
別腹が、生クリームとかチョコレートとかストロベリーとかでいっぱい、って感じ……。
今野緒雪/マリア様がみてる 黄薔薇革命 より
これは、『マリア様がみてる』の著者、今野先生の、あとがきの言葉です。
女の子たちのお話しは、甘くてふわふわなスイーツで、ビターなところもあったりして、まさしく「別腹」ですよね。
わたしは、まだ足りない! なので、これからも、少女と少女の物語を探してゆきたいです。