カムアウト(カミングアウト)について

日々

わたしはレズビアンですが、その性的指向は基本的にクローゼットにしています。
両親にも、弟にも、友人たちにも、会社の人々にも、明かしていません。
例外は2つ。
学生の頃からの親友2人と、主治医の先生に、カムアウトし、パートナーを紹介しています。

友人たちや会社の人々へのカムアウト

友人たちや、会社の人々に明かす必要はないかな、と思っています。
今や会社でも「LGBTを理解する研修」なるものが開催されているのですが、だからこそ、見世物になりたくない、というのが本音です。
講師の先生が「性的マイノリティは10人に1人います。つまり、この会議室に3人はいるということですね」などと仰ると、なんともいえない気持ちになります。いますからね、ここに。
なにか配慮を必要としている、というわけでもないですしね。「配慮」……正直、最近は印象の悪い言葉だと思います。
同性愛を理解しろ、と強要するのは、違うな、と思うのです。押しつけて理解をねだって、なにがしたいのだろう?
「どうして結婚してないの?」「彼氏はいないの?」と聞かれることは、少しいやだな、という気持ちはあります。まれに「レズなの?」とあからさまに聞いてくる人もいます。
笑って話しを逸らすことくらいはできる年齢なので……と言うと、それをできない若い方々が困るんだろうなあ……。ヘテロ、ホモにかかわらず、人の恋愛や結婚というプライベートについて、開示を要求する社会というものが、私は苦手です。

家族へのカムアウト

家族については、うーん、もやもやします。
母は、わたしが産んだ子を見るのが夢だと、ずっと言っておりました。
弟に子供がいるのですが、「やっぱり、お嫁さんが産んでくれた子でしょ。遠慮があるじゃない。娘が産んだ子の方が、自由にできるから」という考えを聞かされています。
若いわたしは、母の期待に添えず、もうしわけない……とうなだれてばかりでした。
同時に、同性しか愛せない自分の性的指向は、絶対に隠さなければならないと、心に決めていました。
今はもう年齢的に子供が産めないので、母親も言わなくなってしまいましたが。

わたしはメンタル疾患を抱えています。だからこそ、頼れる「旦那様」に養ってもらい、子を産み育ててゆくことが、わたしの幸せだと信じている両親。
優しく、可憐で、天使のような女性と結ばれ、二人の子供に恵まれた。絵に描いたような幸せな家族を、夫として父として守っている弟。

やっぱり、カムアウトは無理だなあ、と思ってしまいます。

だけれど、わたしと都子さんは、真実17年間ともにいます。
都子さんとともに、実家に帰ったこともあります。
弟は、家族旅行に、両親とわたしだけでなく、都子さんも誘ってくれます。
両親も弟も、わたしたちの関係に気づいていて、黙っていてくれているのでしょう。

それでも、カムアウトはしたくない。
エゴかな、と思うのです。
昔と違い、今は、性的マイノリティを「差別」してはいけない、という同調圧力があります。先述した、職場の「LGBT研修」が良い例ですね。それに押された両親から、弟から、むりやりに祝福を強請って、良い気分になりたい。安心したい。
そんな自分のエゴが、大嫌いです。
それくらいなら、言わない。墓までもってゆく。
ほんとう、感情論だなって思います。

カムアウトで得た救い

わたしは、完璧なクローゼットではなく、親友二人に打ち明けられているのも、大きいのかなと思います。
わたしと都子さんが、互いにかけがえのない、大切な人だと思い合う関係だと、知っていてくれる人がいる。
やっぱり、うれしいです。
時々、わたしたちは世界に二人ぼっちだ、と孤独感を覚えることがあるのですが。
いやいや待てよ、親友たちがいるじゃないか、と思いなおすことができるのです。わたしののろけ話を、1つも抵抗なく聞いてくれる。いやいや私だって幸せだよと、恋人や子供ののろけ話をかえしてくれる。
わたしは恵まれているなあ、と思います。
完璧にクローゼット、誰にも打ち明けられず、苦しい思いをしている人も沢山います。
カムアウトする、しない、を選べることすら、ぜいたくですね。
自分の感情にばかり囚われず、優しい周りの人達のことを、思いやって、生きていきたいと思うのです。

Lucaのプロフィール
るか

女性で、同じ女性の恋人とともに暮らして17年。
現在進行形の日記、過去をしのぶ想い出などを書いています。

ネット恋愛で行き詰まっている……
同棲生活がうまくいかない……
同性愛者のことを理解したい……
そんな方々に、ちょっと足をとめてもらえるブログを目指しています。

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