ザル、有罪の日
るかは都子さんの作る、はるさめサラダが大好物。
特に、暑い夏の時期、ピリ辛な味付けをされると、食欲を刺激されます。
このお料理の主役、はるさめ。
乾燥はるさめを、お湯でもどし、使うわけですが、このときザルを使いますよね。
わたしが今夏、とくにはるさめサラダを所望したため、都子さんは百均で小さなザルを買ってきました。
今まで使っていたザルは、大きくて使いにくかった。
そこで、小さなザルの出番です。
台所のお道具が増えるとご機嫌な都子さん。うきうきはるさめサラダを作っていたのですが。
「あいつ、だめだった」
「??」
見て、と言われて見ると、排水溝に大量のはるさめが!
「ザルの目が粗すぎて、はるさめ流れちゃった?」
「そうっぽい。やっぱ百均はだめかなあ」
しょんぼりする都子さん。
ザルのことは残念だったけど、今日のはるさめサラダも最高に美味しいよ!と、はるさめサラダにがっつくるか。
ザル、冤罪の日
今日の夕飯もはるさめサラダ!とうきうき食べていると、都子さんの神妙な顔。
「あいつ、冤罪やったかもしれん」
「??」
聞けば、今回のはるさめ、きちんとザルに残っていたのだと。
「私がはるさめを流した犯人だった」
「おお……自首か」
うなずく都子さん。
そうかザルは冤罪だったのかごめんな、今日のはるさめサラダも最高に美味しいよ!と、はるさめサラダにがっつくるか。
ザル、おまえ少し犯人な
はるさめサラダ作ってくれて有難う!と料理中の都子さんのそばをうろちょろするるか。
「るか、見て」
「なになに? おっ?」
「隙間から、はるさめが逃げてる!」
「三本くらい逃げてる!」
ザルからぴょこぴょこ逃げだそうとしているはるさめ、計3本。
水を切るともっと逃げそう。
「こいつ、ちょっと犯人。明らかな冤罪ではなかった」
「うんうん。都子さんが犯人でもなかった」
二人でにまにましながら、食卓につきました。
この日のはるさめサラダも、たいそうおいしかったです。
以上、はるさめとザルとわたしたちでした。
ちなみに、今ははるさめをお湯でもどすの、るかがやっています。都子さんにおんぶに抱っこ状態から、少しでも脱却したくて、お手伝いから始めているのです。
なので、ザルを使用しているのも、もっぱらわたし。
ザルのすきまから、ちょろちょろ逃げているはるさめを見て。
「やっぱりおまえが、少し犯人な」
と指摘しながら、仲良くやっています。